Pediatric 小児矯正
小児矯正とは
「小児矯正」はお子さまが受ける矯正治療で、永久歯が生え揃う前や生え揃った後すぐに行なうものです。
まだ小さなお子さまは顎の骨も成長しています。成長期に矯正治療を行なうことで、歯だけでなくまだ軟らかい顎の骨を動かし、正しい位置になるように顎の大きさやバランスをコントロールできます。将来、正しい歯並び・噛み合わせになる可能性が高くなります。
矯正治療はきれいな歯並びにするためには欠かせないものですが、虫歯・歯周病の予防や、全身の健康の回復・維持など、審美面だけでなく機能面の改善にも必要な治療です。
小児矯正は、将来にわたり口と全身の健康を維持するためにも大きな意味があります。
お子さまの歯並びや噛み合わせが気になるという方は、ぜひ当院にご相談ください。
子どものころから歯並びを整えるメリット
MERIT01.歯並びとともに骨格のバランスも整える
歯をきれいに並べるスペースを作るために、お子さまの成長を生かして顎の成長をコントロールしながら骨格を整えます。抜歯せずに矯正できる可能性が高くなるだけでなく、骨格のゆがみを抑えた顔つきに改善します。
MERIT02.虫歯・歯周病にかかりにくくなる
歯並びが乱れたままだと、まんべんなく歯を磨きにくいので汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。歯並びがきれいになると歯間にも歯ブラシが届くようになり、歯を清潔な状態に保てます。また、しっかり噛めるようになるので唾液が十分に分泌され、お口の中が洗浄されます。
MERIT03.コンプレックス解消で素敵な笑顔になる
歯並びが悪いせいで容姿に自信がもてず、笑うときに自然と手で口元を隠してしまうという方も少なくありません。とくに、思春期にはこうしたコンプレックスを重く受け止めがちです。早い段階から歯並びを改善すれば学校生活はもちろん、将来訪れる成人式や結婚式といった節目を素敵な笑顔で迎えられます。
【矯正時期】
Ⅰ期治療とⅡ期治療について
治療時期
Ⅰ期治療(骨格矯正)
お子さまの成長を生かし、正しい歯並びや噛み合わせにするための「位置決め」を行なう治療です。目安となる年齢は3~12歳ごろです。
位置決めでは、6歳臼歯(6歳前後に乳歯の奥から生えてくる永久歯)といわれる奥歯を基準にして正しい噛み合わせにします。永久歯を抜かずに歯並びを整えられる可能性が上がるほか、出っ歯や受け口を予防できる場合があります。
Ⅱ期治療(歯列矯正)
1期治療で顎の骨の大きさやバランスが整って永久歯がきれいに並ぶ土台ができると、2期治療の必要がなくなる場合があります。もし2期治療が必要になったとしても、部分的な矯正治療で済むケースが多くなります。2期治療の対象となる年齢は、およそ10歳~成人後です。
もし不適切に生えてきそうな永久歯が見つかった場合は、完全に生えて顎の骨の成長が止まってから治療を始めることもあります。
小児矯正に用いる装置の種類
小児矯正で使う装置には、取り外しできる可撤(かてつ)式装置と、取り外しできない固定式装置があります。
年齢や症状などから、より適した装置をご提供します。
可撤式装置
床矯正
歯列を広げてきれいに歯を並べるスペースを作る装置です。約1週間に1回、装置のネジを回して歯列の幅を広げていきます。装着している時間が長いほど効果的です。
機能的矯正装置
出っ歯を改善する装置です。学校から帰宅後、翌朝までつけていただきます。装着時間が長いほど効果が現れやすいので、休日や自宅にいるときは長めにつけましょう。
固定式装置
マルチブラケット装置
1本1本の歯をきれいに並べる装置で、一般的には2期治療で使います。
小学生のお子さまであれば、「永久歯の前歯だけ」「永久歯の前歯と6歳臼歯」など、部分的につけることが多くなります。
急速拡大装置
上顎の歯列を広げてきれいに歯を並べる装置です。ネジを回して900gから数キログラムの強い力で歯列の幅を広げ、歯をきれいに並べるためのスペースを作ります。マルチブラケット装置よりも早く効果が現れます。
- ・機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- ・最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- ・治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年半~3年を要します。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生え揃った後に行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。
- ・歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
- ・装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- ・治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
- ・歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
- ・ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ・ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
- ・治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
- ・治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- ・問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
- ・歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
- ・矯正装置を誤飲する可能性があります。
- ・装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
- ・装置を外した後、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- ・装置を外した後、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
- ・顎の成長発育により、噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- ・治療後に親知らずが生えて、歯列に凹凸が生じる可能性があります。
- ・加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることがあります。
- ・矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。